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CASE STUDIES
健全な森林を育むには長い期間を必要とするため、保全の担い手を継続的に育成することが重要です。しかし、若者層は森林や林業に関する知識や関心に乏しく、職業として林業を選ぶ人は少ないのが現実です。本研究では森林を育てる人の育成に焦点を当て、ターゲットの設定から精査を行いました。
昨今、土砂災害の件数が増加しています。
土砂災害は、山の管理で防ぐことができます。また、山の管理をすることで木々が安定して育つので森の動植物を守ることもできます。
そんな山の管理には「労働力」や技術が必要です。すなわち、技術を使える人材や、山で作業をできる人材の確保が課題です。
林業従事者数は年々減少し、2020年には4万4千人となっています。
また、林業の高齢化率(65歳以上の割合)は、は25%で、全産業平均の15%に比べ高い水準にあります。
そこで、若者が林業界に就職することを目標としました。
中学生、および高校生に対する調査の結果、半数以上が「林業について知らない」「興味がいない」と回答しました。既に興味が他に定まっていることを意味していました。
そこで、その前の段階である小学生を対象として、林業や森林保全について知ってもらうことが必要と考えました。
小学生が、森林保全の大切さを知って調べようとする。さらに、林業に関心をもって職業選択の一つとなるようにする。
①ゲーミフィケーションによる学習効果、②学術的なプロセスに測って開発、③授業などへの取り入れやすさ、④地域コミュニティに取り入れることが可能、⑤ファシリテーターにも森林教育が可能を特徴とした小学生向け教育プログラムです。実装結果から子どもたちの森林保全への関心を高めるに留まらず課題を自分ゴト化し、色々な意見を聞き入れながら意思決定をするというこれからの時代に必要な力を育てる効果もあることが示されました。
事前説明
「林業」について小学生に興味をもってもらう説明、
ゲームの説明を行います。
森林保全すごろくゲーム
マップの至る所に「お金のマーク」と「クローバーのマーク」があります。勝利条件は、最も「お金」と「自然」の数値が高く、両ポイントに差がないこと。これは、お金と自然の両方を大切にして持続的な森林保全を目指すことが目標だからです。また、1チーム1人ファシリテーターという司会進行役を儲けて、チーム内交流やゲーム進行を円滑に行います。
ゲーム後のふりかえり
皆で感想を共有します。「今まで知らなかったことを知れた」「自分で企画を考えるのが楽しかった」という声も聞こえました。
興味に影響を及ぼした項目は「誰かのため」でした。また、印象に残ったマスは「伐採・製材」であり、その理由は木を伐ることの大切さや放置することへの危機感でした。小学生の林業や森林保全に対する関心を惹起するためには、「森林管理不足の危険性」「林業の仕事は誰かのためになっている」ことを伝えるのが効果的だとわかりました。
小学校における活用の実現可能性についても68.3%が可能と回答しました。活用場面については「総合的な学習の時間」が最多でした。また、親の83.6%が「本プログラムを学校で受けてほしい」、67.9%が「本プログラムを地域コミュニティの場で受けてほしい」と回答するなど高い評価を得ました。
小学校教諭や小学生の親からは「海洋保全などの課題もゲーム化しては」「すごろくの中で興味を持ったことについてすぐに調べられるような資料があると、思考が止まることなく学ぷことができそう」などの意見が寄せられました。そこで、教育プログラムファシリテータ用マニュアルとその動画を作成しました。
森林保全行動の促進に関する研究の内容に関するインタビュー記事が、2023年8月31日のハフポストに掲載されました。
研究内容に関するインタビュー記事が、同志社大学 “D”iscover に掲載されました。